フランスのブルゴーニュ地方を代表する赤ワイン用のブドウ品種です。色素やタンニンのもとになる果皮が薄いため、繊細で上品なワインができます。その繊細さが特徴ですが、特定の条件ではグラスを飛び出して部屋を漂うほどの華々しいアロマを纏ったり、ボディ豊かで骨格のある偉大なワインになったりするためワイン用のブドウ品種のなかでも最も奥深く、ファンを惹きつけています。
ワイン用ブドウ品種のなかでは早熟な部類に入ります。温暖な気候を好みますが、果粒がしぼんだり果皮が日焼けを起こしたりします。そのため良質なワインを造るには成熟がゆっくり進む冷涼な土地が必要です。しかし涼しすぎたり、湿度が高すぎたりするとこんどは病気にかかりやすくなります。収量が多すぎるとワイン品質が低下するのでよくコントロールする必要があります。石灰質の土壌を好むことも、気候と土壌の条件が揃ったブルゴーニュ地方で長く栽培の歴史が続いてきた理由のひとつに挙げられます。
ブドウは果粒が小さく、タンニンの含有量は重量の1.7%程度です。これは他の黒ブドウの3~6%に比べてかなり低く、ワインに色をもたらすアントシアニンの含有量もかなり少ない値です。
バラやスミレなど華やかな花のアロマ、苺やチェリーなど赤い果実やスパイス…熟成したものはトリュフの芳香を放つ。
「官能的」「妖艶」といったワードもよく使われます
ピノ・ノワールにはタンニンや色素が少ないためワインの色は薄めの色調で、味わいは繊細です。相対的に酸味が豊かに感じられ特有の赤果実の風味が楽しめます。涼しい産地やヴィンテージのワインから感じられるのは、木いちご、チェリー、アセロラ、すもも、こけもも、梅といった風味。暖かい産地や良く熟したヴィンテージでは、プルーン、ブルーベリーといった風味が感じられます。
伝統的にピノ・ノワールを造ってきたブルゴーニュ地方では、なで肩の『ブルゴーニュ型』瓶が伝統的です。
そのため世界的にピノ・ノワールのワイン
それに習うのが一般的です。
ピノ・ノワール最高の品質と魅力をもつ銘柄は主にブルゴーニュで生まれます。
ここではテロワールの微妙な違いを表現する、ピノ・ノワールの能力がいかんなく発揮されます。ピノ・ノワールを使って良質のワインを造ることは世界中のワイン生産者にとって大いなる挑戦となっていて、ブルゴーニュは常にその手本となってきました。
ピノ・ノワールは古い品種の『ピノ』の変異でできました。そのピノは今のところ起源が不明で、ジュラ地方で栽培が続いている品種「サヴァニャン」と親子関係にあることがわかっています。確かなことは最も古く、最も重要な品種の一つだということです。重要というのは、ピノ・ノワールが最高峰のワインを生むからということだけではなく、その長い歴史で交配・変異によって様々な重要品種を生んだこともその理由です。
例えばシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブランなど、現代のワインに欠かせない多くの品種がピノの交配系譜に入っていて、ピノの子、姉妹、孫、ひ孫などにあたります。
ピノ・ノワールは早熟な品種で、暑い気候ではより早く熟します。そのため涼しい地域でゆっくり熟したものが高い品質になります。
世界の栽培地域の特徴を見てみましょう
〈2016年栽培面積〉
フランス 31,602
アメリカ合衆国 22,998
ドイツ 11,184
ニュージーランド 5,514
イタリア 5,057
オーストラリア 4,806
スイス 4,209
チリ 4,091
モルドバ 2,366
ルーマニア 1,930
アルゼンチン 1,866
南アフリカ 1,153